clitoric

きょうは朝から授業もサボり実験もせず、ダヴィンチ・コードを読みふけった。まるで映像を見ているかのような描写力とテンポのよさは誰もが感じるところであろうし、はじめから終わりまで飽きさせないストーリー展開は圧巻だった。読み終わった後は思いっきり「おもしろかったー!」って叫びました、叫びたくなったんです。
この話の中心となるのは『象徴学』。高校まで象徴学って言葉に触れたことは全くなかったし、実生活を送っている上でこれが何のシンボルかなんてあまり考えたことはない。及川奈央のサインを見てどこからどう読んだら及川奈央って読めるのか悩んだりすることは(今日の朝)あったけど、そういうものを象徴なんて堅苦しい言葉でフォーマットすることはふつう、ない。(というかこれは象徴じゃ、ない、ですね)
でも大学に入ってから思いがけずその類のものにふれたことがある。そのときを含めて自分の人生で象徴学にガツンとやられたのはこれで2度目。その1度目は駒場の英語Ⅱの授業だった。

 
いつも黒服、黒くてつやつやしてちょっとカールした長い髪、30代半ばぐらいか。いつも上ずったかすれ声の女教官S先生*1。イニシャルのSはサディスティックのSでもある。少なくともおれたちはSだと確信していた。たまに浮かべる笑いは少し冷たくて、友達の中にはS先生が大好きで大好きで仕方なくなって次の学期も授業を受けに行くやつまでいた。
 
そのS先生の授業はマジで衝撃的。10代の俺達の学究心をもみしだいてくちゃくちゃにしてめろめろにして先生の虜にしてくれた。もちろん全出席。内容は激しく難しくて、その理由こそ象徴学的(かつ性的)な比喩満載の英語長文だったからなんだけど、そこでおれはおそらく英語Ⅰで覚えたよりもはるかに多くの重要な『象徴学的な』単語を覚えた。
特によく出てきてた例えはpenetorate、inseminate、vagina、penisなどなど。inseminateはあれですよ、前だしでもなく後出しでもなく・・・。文章の概要はおいしいとこをつまんで言うとこんな感じだったと思う。*2
 

whiteがAfricaからblackをslaveとしてCaribに連れてきてplantationした。それを例えるとwhiteがpenisでblackがvaginaでwhiteはblackをpenetrateしてinseminateしたんだ。

 
そして一箇所だけ使われていた衝撃の英単語'clitoric'。clitorisの形容詞形!clitorisの形容詞形なんてどこで使うのって思ったあなた!象徴学をなめちゃいけません、何かがclitoricだったんです、何かは覚えてないけど。
 
んでもって和訳させるんです。その文章を、全員に、順番に。男の子にも、女の子にも、みんなにペニスペニス言わせるんですよ。おれにはS先生が「ヴァギナよ、わかってるでしょ」「ペニスよ、何がおかしいの」的に映ってとっても刺激的でたまりませんでした。そんなS先生の魅力と授業の内容があいまって、僕たちはとても学究心に燃えました。
その授業は友達と6人くらいで出てたんですけど、まじめにみんなで分担して全訳とか作って毎回きちんと予習しました。超ハードな授業だったにもかかわらず、確かうちのクラス全員優でした。まじで楽しかったです。
 
 
・・・それが僕と象徴学との最初の出会いでした。ありがとうS先生、そしてダヴィンチコード。どっちもサイコーにおもしろかったです。ちなみにダヴィンチコードというタイトルの中にも性的な単語が隠されていたのは気づいたであろうか。Davideとchinco。無理やりだな、しかもhを勝手にいれた、すまそん。そんなことしか思いつかんのです、この頭は。

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

*1:教官の前に女ってつけたらちょっとエロいって分かっててつけました、ごめんなさい

*2:たしか本当はthresholdにまつわるお話メインなんだけど、自分の頭の中にはこれしか残ってないんです。間違いなくこの部分は著者の伝えたいことと乖離してるんですがご了承ください